古典写真技法とは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本カメラ

2020.6月号

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鶏卵紙 albumen print

 1839年ダゲールによって公表された、最初の実用的な写真術である「ダゲレオタイプ」に始まる写真の歴史の中で、19世紀半ばから20世紀初頭までの約50年間、もっともポピュラーだった写真印画法であり、数多くの写真が現在まで残されています。

 

鶏卵紙は、紙などの表面に「卵白に塩を加えた液」を均一に塗り、これを乾燥した後に「硝酸銀溶液」を塗布して、感光性をもたせたものであり、感光度は極めて低く(現在の印画紙の数万分の一)、引き伸ばしではなく、太陽光による密着焼付けを行います。

 

こうしてできたプリントの色調は赤褐色のセピア調で階調が美しく、紙の材質、卵白濃度、焼き付けの程度などによって、光沢、階調、最高濃度などを調整します。

 

なお本来のアルビューメンプリントは耐久性が低いので定着前に金調色を施しますが、

本来の色調を変えたくない場合、画像安定剤「Agガード」を使用しています。

 


 

 

 

 

 

アンソタイプ anthotype print

 アンソタイプ(ギリシャ語で花の意)とは、植物や果実などを染料とする印画法で、

19世紀初頭イギリスのジョン・ハーシェルが発案したもので、当時のプリントが今でもの残っています。

環境に負荷をかけないプロセスです。

 


 

 

 

 

 

 

青写真 cyanotype print

 サイアノタイプは、1842年に天文学者ハーシェルが発明した写真法。

この方法は、第二鉄塩が光照射により第一鉄塩に変化する性質を利用していて、第一鉄塩が、フェリシアン化カリウムと反応してタンブルブルーを生じると、光の照射量に応じて青い色の濃度変化が現れます。(ネガーポジ方式)

このプリントは、処理が比較的簡単で安価であり、しかも耐久性もあることから、19世紀から最近まで建築図面などに広く使用されました。


 

 

 

 

 

カリタイププリント kallitype print

カリタイプは、1889年にイギリスのニコルにより発表されました。

kalliとは、ギリシャ語でbeautifulの意味。

 

感光主剤にシュウ酸第二鉄と硝酸銀用います。光の作用でシュウ酸第二鉄がシュウ酸第一鉄に還元されされ、

これが水中に共存する硝酸銀を還元して銀画像を形成する。

 

焼き出し印画であり、画像の色を鮮やかにするため、焼き付けた後で酒石酸カリウムナトリウムや

ホウ酸ナトリウムなどを含む現像液で処理する。くえん酸ナトリウムで処理すれば、セピアブラウン、

くえん酸アンモニウムで処理すれば、レディッシュマロンなど、現像液によって色調を変化させることができる。

 

長期保存するには定着後に金調色を施しますが、本来の色調を維持したいときはAGガードを使用します。

 

 

 


 

 

 

バンダイクプリント vandyke print

 バンダイクプリントは、カリタイプの一種だが、カリタイプのような現像を

必要とせず、茶色の色調の印画を作ることができる。

 

感光主剤はクエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウムと硝酸銀に、酒石酸を用いる。

 

長期保存するには定着後に金調色を施しますが、本来の色調を維持したいときはAGガードを使用しています。

 


 

 

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